これから不動産(家・土地)を売りに出そうと考えているけれど、他の売主の売却理由ってどんなものがあるんだろう?
既に売り出し中で、買主から売却理由を聞かれたけど、こんな理由だと購入を敬遠されてしまうのでは・・・
売却理由で嘘をついたり、告知しなかったらどうなるの?
など、不動産(家・土地)を売る時の売却理由について気になることがある方は多いと思います。
このページでは、
不動産(家・土地)の売却理由にはどんなものが多いのか
買主が購入を嫌がる売却理由にはどんなものがあるのか
嘘の売却理由を言ったり、告知しなかったらどうなるのか
などについて解説します。
これから不動産(家・土地)を売却しようといている方、現在売り出し中の方は参考にしてみてくださいね!
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不動産(家・土地)を売る理由にはどんなものが多いのか
少し古いものではありますが、2015年に調査された不動産(家・土地)を売る理由(複数回答可)で多かったものは、下記のようになっています。
1位 より良い住まいに住み替えるため 42.3%
2位 資金が必要となったため 12.9%
3位 今が売り時だと考えたため(税制改正などから)9.4%
4位 勤め先の転勤のため 7.9%
5位 住まいを相続した/することになったため 7.5%
離婚したため 6.0%
家族(親や子どもなど)と同居するため 5.0%
ご自身や子どもの通勤/通学のため 3.3%
家族やご自身の子育て/出産のため 2.9%
家族やご自身の介護のため 2.3%
子どもが独立したため 1.5%
結婚したため 0.8%
その他 10.0%
出典:http://www.homes.co.jp/cont/press/report/report_00059/
現在の家・土地を売って、新しい家を買ったり借りたりする買い替え・住み替えの方が42%程度と一番多く、
資金作りのために売却する方、売り時を狙って売却する方・・・と続きます。
私の知り合いの不動産屋に訊いたところだと、8割が「買い替え・住み替え(売却と購入)」、残りの2割が相続した家などの「売却」ということでした。
上記調査結果の理由について、それぞれ深堀して解説してみます。
不動産(家・土地)を売る理由 1位⇒より良い住まいに住み替えるため 42.3%
ネット・雑誌・不動産屋の知り合いに訊く等して調べてみましたが、やはり住み替えを理由に挙げる方が多い印象です。
昔は、マイホームというと一生に一度の大きな買い物というイメージでしたが、近年は一度買ったマイホームを売却して、より良い家を買いなおす方が増えています。
そのため、不動産(家・土地)を購入する側(=買主)も、高額な新築よりも、中古住宅を買いたいという方が増えているようです。
中古住宅ではなかなか買い手がつかないという状況であれば、多少手狭でも不便でも我慢して住み続ける方が多いでしょうが、現在のように中古住宅も売れやすい状況であれば、積極的に住み替えを検討しようと思う方が多いのでしょうね。
また、このアンケートは複数回答可になっているため、何か理由があって住み替えをする方がみんなこの選択肢を選んだものと思われます。
住み替えしたいと思う理由も、深堀すれば様々な理由があるはずです。
たとえば、4位にランクインしている「勤め先の転勤のため」や「結婚したため/離婚したため」などのきっかけがあって家の住み替えを検討している方も多いでしょう。
「住み替えをしたいから売りに出した」という理由は、買主にとってはマイナスになりませんが、
たとえば「離婚したから住み替えしたい」「建物が老朽化したから住み替えしたい」という理由だと、買主によってはマイナスに捉えられてしまうこともあります。
また、後述しますが、売主には告知義務があり、不動産(家・土地)を売る理由を隠したり、嘘をつくと告知義務違反となる場合があり、最悪の場合は損害賠償になってしまいます。
査定や買主の心象にマイナスとなるような売却理由は隠したくなりますが、引き渡し後に発覚した場合の方が大変です。買主のマイナスになるようなことであれば、売却理由をちゃんと説明しておきましょう。
ただし、すべての理由を告知しないといけないわけではありません。心配であればまずは不動産屋(仲介業者)に伝えて、買主に伝えないといけないものか確認してもらいましょう。
不動産(家・土地)を売る理由 2位⇒資金が必要となったため 12.9%
2番目に多い理由の「資金が必要になった」というものですが、こちらは借金などすぐに資金が必要な場合や、子供の教育費などすぐではないものの、いずれ必要になるものの二通りが含まれていると思います。
すぐに資金が必要という場合には、買主を探すのではなく、不動産屋に「買取」をしてもらうという選択肢もあります。
知り合いの不動産屋に訊いたところでは、最近は「買取」を選ぶ方も増えて来ているようです。
買取の場合は、不動産屋が買い取るので、売却までの期間が短くて済むのがメリットです。
ただ、買主を見つけて売却するよりも、売却額は下がってしまうので、売却額が下がっても早く売ってしまいたいのか、それとも多少時間がかかっても高く売りたいのかをしっかりと考えておく必要があります。
「資金が必要となったため」という売却理由の場合は、買主に不利益となる売却理由でもないので、必ずしも告知する理由はありません。
ただ、借金などの場合は、早めに売却しないといけないために売却額が下がることが多かったり、場合によっては買主や不動産屋に足元を見られて買いたたかれたという方もいるので、その点は注意が必要です。
不動産(家・土地)を売る理由 3位⇒今が売り時だと考えたため(税制改正などから)9.4%
3位の「今が売り時だと考えたため(税制改正などから)」は、不動産投資を行っている人、また、いずれは売却しようと考えていて、高く売れる時期を待っていた方などが選んだと考えられます。
市場や金融の動向を見て、売り時と判断する投資家が多いのであれば、売り時を待っていた一般の売主も「今売ろう」と決断することが多くなるでしょう。
ただ、一般の売主が売り時を判断するのは難しいですし、必要にかられて売りに出す場合が多いので、売り時を待てるのであれば待った方が良いですが、待てないのであれば無理せず、売りたいと思った時に売るのが正解です。
「今が売り時だと考えたため(税制改正などから)」という売却理由も、買主にとって不利益になるものではないので、告知義務はありません。
不動産(家・土地)を売る理由 4位⇒勤め先の転勤のため 7.9%
こちらも売却理由として良く挙げられるものですね。
転勤の場合でも、家を売却せず単身赴任する方もいますし、この理由を選んだ方のように家族で引っ越すために家を買い替える方もいます。
単身赴任の場合は、会社から補助が出る場合もあるでしょうが、持ち家のローンと単身赴任先の家賃の両方を支払わないといけなくなって、費用負担が増えることも考えられます。
そのため、転勤先に家族全員で引っ越して、家・土地は買い替えるという選択をする方も多いですよね。
転勤の期間や家族の状況などによって、売却や買い替えをするべきか、ローンを払い続けて維持するべきか、あるいは賃貸にするなど活用するべきかが変わってきます。
「勤め先の転勤のため」という理由の場合も、買主にとって不利益になるものではないので、告知義務はありません。
不動産(家・土地)を売る理由 5位⇒住まいを相続した/することになったため 7.5%
高齢化が進む中で、親の世代から不動産(家・土地)を相続する方も増えています。
相続した家に住むこともできますが、既にマイホームがある場合や場所が離れている場合は、売却や活用(賃貸など)を検討する方が多いです。
相続したまま何もせずに放置していても、固定資産税だけが出ていくことになるので、相続した後は早めに売却や活用を検討するべきです。
これからますます高齢化が進んでいくことを考えると、不動産(家・土地)を相続する方も増えていくでしょう。
相続には相続税もかかりますし、まだ親や家族が元気なうちに、相続税対策などを話し合っておくことが出来れば、節税にもなりますし、将来を考えることもできるのでおすすめです。
「住まいを相続した/することになったため」という理由の場合も、買主にとって不利益になるものではないので、告知義務はありません。
その他の不動産(家・土地)を売る理由
上位5位までの売却理由について解説しました。
この他、アンケート結果には入っていない理由には、下記のようなものもありました。
その他の売却理由
- ローンを支払っていくのが厳しくなってきた
- 環境が不便になった(近くのスーパーの閉店など)
- 事件・事故・自殺など
- 家の老朽化
- 地震が心配で耐震のしっかりした家に住み替えたい
- 津波が心配で内陸の家に住み替えたい
- 隣近所の住人とのトラブル(騒音・嫌がらせなど)
- 子供がいじめにあっていて転校させたい
など
この中で、「事件・事故・自殺」などに関しては、買主の不利益になるため告知義務があります。
必ず売却理由として伝えるようにしましょう。
買主が購入を嫌がる売却理由にはどんなものがある?
買主が購入を嫌がる売却理由にはどんなものがあるでしょうか?調べてみました。
買主が購入を嫌がる売却理由
- 家の欠陥(白アリ・雨漏りなど)
- 事件・事故・自殺などがあった
- 周辺環境が不便になった(近くのスーパーやコンビニが閉店した。バスが通らなくなった。等)
- 周辺環境が変わった(学校が出来て騒音が気になる。道路や線路が通って夜中もうるさい。等)
- 築年数が経って老朽化してきた
- 近隣トラブル(騒音、ニオイなど)
- 離婚・死別など
- ローンを支払っていくのが厳しくなってきた
直接的に査定に悪影響が出るものではなくても、買主の心理的に嫌だなと思われてしまう売却理由はけっこう多いです。
もちろん買主によっては全く気にしない方もいますし、逆に上記以外にも様々な理由で購入を敬遠する方もいますので、どんな理由がマイナスに働くかを判断するのは簡単ではありません。
しかし、「事件・事故・自殺などがあった」場合などは、買主への告知義務がありますので、必ず告知しましょう。
その他の売却理由に関しても、トラブルを避けるため、また、故意に告知をしなかったと判断されると告知義務違反とみなされることもありますので、基本的には告知した方が良いです。
売却理由で嘘をついたり、告知しなかったらどうなる?
先に書いてきた通り、売却理由によっては「告知義務」というものがあります。
告知義務は、宅建業法47条(業務に関する禁止事項)に定められています。
宅建業法47条では、特定の事項について事実を隠したり、嘘をつくことを禁止しています。
ここで言う「特定の事項」とは、事件・事故・自殺があった(=心理的嫌悪事項、心理的瑕疵)、雨漏りやシロアリ被害などがあった(=物理的瑕疵)などです。
こうした事実の告知をわざとしなかったり、嘘をついていたことが発覚した場合には、告知義務違反となり、多額の損害賠償を請求される等、裁判となる可能性があります。(実際にこうした訴訟は数多く行われています)
告知義務違反には時効があるのかについても調べてみましたが、どうやら時効について法律には明記されておらず、過去の判例をみてもバラバラの判決が下されているようです。
告知義務違反とならないように、売却理由は隠さず告知するようにしましょう。